
トレーダーは、「この先どう推移するかを」常に気にするものです。ですがそれに対して明確な返答はつねにどこにもありません。女神 俺の参考にしてる方だってそんなことはわからないんです。でも初心者はどこにもない「答え」を探してしまう傾向にあるなと思っています。今日はそんな話します。 たまには会話形式で記事を書いてみる。
新米トレーダーは正確に予言しようとする。金持ちトレーダーは市場が語りかけてくることに従う。
「では、今日の株式市場はどうなると思いますか?」
「さっぱりわからないな」
「どの銘柄が良いと思いますか?」
「株価が上がる銘柄だね」
「買いですか売りですか?」
「私のシステムでは買いだ」
「このトレンドはまだ続くとお考えですか?」
「わからない」
質問を重ねた新米トレーダーはほとんど歯軋りするところだった。
「今朝発表される雇用統計の数値ですが、良くなるか悪くなるかどちらだと思いますか?」
新米トレーダーは何か先生から意見を引き出そうと、もう一度尋ねた。
「知らないな。それどころか、良い数値だったとしてもそれで上昇トレンドが続くことになるのか、あるいは材料出尽くしでトレーダーたちが売ることになるのかさえわからない。 私は予想はしない。意見も持たない。だから本当に知らないよ。 私が知っているのは、トレンドに従えば私は儲かるということで、私のシステムはトレンドの中で利益を捉えて、それが反転すればポジションがなくなるということだ」
「僕は未だに、値動きを予想しないトレーダーがどうやってお金を儲けるのか、うまいこと自分で説明できないんです。 株価がどうなるのかを予想するのが唯一儲かる方法ではないんですか?」
「まず最初に言わなければならないが、それは不可能だよ。 未来はまだ起きていないわけで、それをどうやって予想するんだい?投資では方向が当たっていればそれで儲けることができる。 市場、もしくはある銘柄の方向は、多少例外があるだけで、一般的に大部分では大きな一つのトレンドにある。
ある銘柄、もしくは市場は、短期的にはより高い高値と安値を形成するか、あるいはより低い高値と安値を形成するか、極論すればどちらかのプロセスにある。
これは、どの期間的な枠組みでもチャートを見ればわかるだろう。
これは何かを予想させはしない。
単にトレンドを示すだけだ。
何かを予想しようとするよりは、単純にトレンドとともに歩むほうが確率的にはより良くなる」
「つまり、あなたは市場を読むだけだ……予想しようとはしない、と?」
「その通りだ。 チャートを読み、パターンを見て取引し、トレンドの変化に反応する。
最も重要なのは、相場の動きに沿うということだ。
相場は私に何をすべきか語ってくれる。
ある一人の人間が、相場の参加者すべてが何をしようとしているのか、経済のあらゆる動き、世界政治、経済政策がどう価格に影響するのか予想するなんてことはできない。 そんなことはバカげている。
ランダムな出来事を投げ入れておいて、それを誰かが正しく予見したとしてもそれは単にラッキーなだけだ。
悲しいことに、誰かが事前に大きなイベントを言い当てたとしても、あらゆる人々が様々な予想をしている中では、結局は誰かの予想が正しくなるに決まっているわけで、ほとんどの場合はそうした単にラッキーな予想に過ぎないということだ。
その人が過去どれくらい正しかったかなんて、もちろん、誰も記録はしていない。
その人物はその後、予想が何度か外れるまでは第一人者のようにもてはやされ、人々は他の誰かが大きく当てると、今度はその人を第一人者ともてはやす」
「わかりました。 あなたは株式相場の科学といったものを信じないということですね」
新米トレーダーはようやくわかったと言うように笑顔で言った。
「そうだ。
しかし、トレーダーが相場の方向に従うことで儲けることができるということは知っている。
取引システムを作ることの本質は、トレンドがいつ始まり、いつ終わるのかがわかるシグナルを出させるということだ。 トレンドを決めるために使えるシグナルは株価と出来高だけだ。
すべてのテクニカル指標は単にこの2つからの派生物でしかない。
だから、システムを好きなだけ複雑にすることはできるが、私の経験上では、何百万ドルも儲けている投資家を知っているが、これ以上に複雑なテクニカル指標を使っている人を見たことがない。
新しい複雑な指標はコンピューターを活用することで、近年になって発明されたものだ。
過去100年に現れた伝説的投資家でこれらの新しい指標について、生前、聞いたことがある人はほとんどいなかったし、それでも彼らは全く問題なかった。
私が個人的に使っている道具は、株価、出来高、ローソク足チャート、それから移動平均線だけだ。
これは私が個人的に選んだものでしかないので、君は自身自身で儲けるための道具を見つけなければならない。 混乱してしまわぬよう、あくまで管理できる範囲内での指標の利用にとどめるべきだろう。
普通なら3つか4つで十分多いはずだ」
「では、僕がシステムを作る目的は、トレンドを捉えることと、過去にトレンドの始まり、あるいは終わりにそれと特定できたような一般的な変数を見つけることなんですね?」
「株価と出来高はトレーダーと投資家の行動を露にしてくれる。
人間の行動というのはいつの時代も変わらないのだ。
それは目に見えるパターンを作る。
欲望と恐れが市場では役割を演じ、合理的なファンダメンタルズで説明できる範囲以上にトレンドを動かすのだ。
相場はその投票が運ぶところへと行く。
君の仕事は多数派とともに投票することだ」